都議会便り

2005年12月8日

1 がん撲滅への取組について
民主党のくまき美奈子でございます。定例会で初めて質問に立たせていただきますのでよろしくお願い致します。

はじめに、「がん撲滅への取り組みについて」伺います。
今年10月、乳がん月間の、ピンクリボン運動で、東京都でも乳がんの早期発見・診断・治療を呼びかけて、都庁がピンク色にライトアップされ、都営交通では記念乗車カードが発売されました。日本人女性の乳がん羅患率は「22人に1人」とも言われ、私の周りにも乳がんに罹り、治療で大変な経験をされた方がいます。このピンクリボン運動がきちんと根づくことを願います。都の乳がんの状況について調べたところ、死亡率は全国一高い状況にあります。さらに、乳がん検診受診率は他府県に比べ低く、早期発見・早期治療に結びつかず、死亡率は増加の一途であり、乳がん対策は都の緊急の課題であると言えます。早急に、乳がん検診の受診率を向上させるとともに、検診の質の管理など体制を整備していく必要があります。乳がん検診の受診率を向上させるためには、都民に対する普及啓発の強化とあわせ、検診の実施体制の拡充として、マンモグラフィの整備や一定の能力を有する読影医師、撮影技師の確保など体制整備が必要であると考えますが、この体制整備について、今後どのように展開していくのか所見を伺います。

国の指針では乳がんの検診対象者が40歳以上とされていることから、区市町村で実施されている検診も、ほとんどが40歳以上を対象にしています。ところが、30歳代についてみると乳がん羅患率が20歳代の14倍と爆発的に増加しています。この世代は子育ての時期でもあり家庭の中で重要な役割を担い、家庭や社会を支える世代です。あるいはこれから結婚・出産をむかえる世代でもあり、この世代の人たちを乳がんから守るためにも、40歳以下への有効な検査方法の検証など取組が必要であると考えます。そこで40歳以下に対する乳がん対策として、都での今後の取組みと事業展開について伺います。

さらには、検診の結果、乳がんが発見され、病院で受診した際に、どの様な手術や治療の方法があるのかなど、様々な悩みが出てくると思われます。患者が自らの治療方針を判断するためには、主治医から十分な説明を受け、自分も納得して治療を受けるという、インフォームド・コンセントが重要になります。患者にとってがんは自らの生死に関わる問題であり、その医師の診断や提示された治療法を本当に受け入れて良いのかとの迷いは切実であります。このようなことから、治療方針について、主治医以外の意見を聞く、セカンドオピニオンを求めるニーズが高まっています。先日報道された新聞記事によると、東京都内のがん専門病院をはじめ、全国でセカンドオピニオンを実施する医療機関が急増しているとのことですが、料金に関しては、かなりの差があるようです。
 平成13年に設置した都の「医療のより良い関係を考える会」では、セカンドオピニオンについて検討し、「主治医が患者に十分な説明を行い、それでも治療方針等の判断を迷っている場合には、他の医師を紹介すると言う事が原則であり、医師との信頼関係を強固なものとしつつ、患者の自己決定権を支えるもの」と定義づけています。患者が、自分で納得できる治療が得られるよう、セカンドオピニオンを都内で定着させ、さらに普及させる必要があると考え、セカンドオピニオンの普及に関する都の取組について伺います。

都民が実際に治療を受ける場合には、身近な地域で、質の高い治療を受けたいと思うものです。がん治療に関し、地域の中で中心的な役割を担う病院として地域がん診療拠点病院が指定されており、そのあり方については、現在、国で検討していると聞いています。そこで、都としても、専門医の育成、検診設備の充実と病院の連携強化、がん治療成績のデータ収集いわゆるがん登録など、地域がん診療拠点病院の機能の充実について、積極的に取り組まれるよう要望いたします。

2 食品の安全確保について
医食同源といわれるように健康の源である食事の素材として食品が安全であることは、都民生活の基礎となります。そこで食品の安全確保について伺います。東京は、いうまでもなく世界有数の大都市として、様々な食品が豊富に流通し、全国のグルメにとっても魅力あふれる都市となっています。しかし、食品の流通がグローバル化し、日本の食糧自給率がカロリーベースで4割となる中で、海外で発生した食品の事件・事故が直ちに都民の食卓へ影響を及ぼす時代となりました。ここ数年でも、輸入農作物の残留農薬問題や、日本では使用を認められていない添加物が使用されていた問題など、輸入食品に関する事件が続々と報道されています。そして、つい最近では、米国・カナダ産牛肉の輸入再開に向け、その是非が大きく取り上げられました。食品の安全というものは、国家的・国際的にも重要な課題です。こうした中で、首都東京には、今後も様々な国や地域から食品が集められ、流通が拡大していくに従って、都民の「食」に対する不安はますます高まることが予測されます。都は、こうした大消費地東京における食品の安全確保を図るため、危害の未然防止などを基本理念に掲げた「食品安全条例」を全国に先駆けて昨年制定していますが、最近の新たな状況をふまえ、都民の食の安全をどのように確保していくのか、改めて知事のお考えを伺います。

また都は、都民や事業者にとって身近な自治体として、日々の課題へきめ細かく対応し、事業者への指導・支援や都民への適切な情報提供などをはじめ、食品の安全確保対策を進めていくことが重要です。都民生活に直結する具体的な課題のひとつに、食中毒があります。ここ10年間における食中毒の発生状況をみると、年間で約百件、約二千人の患者が発生しています。私達の生活における衛生レベルは高いものであると考えてきましたが、こうした状況を見ると決して油断出来ないと感じます。また、食中毒は主に夏場に発生するものと考えられがちですが、近年は、主に冬場に発生するノロウィルス食中毒が増加し、昨年、都内では、この食中毒の件数及び患者数が最も多い状況です。ノロウィルス食中毒は、二枚貝によるものがよく知られていますが、最近では、それ以外にも様々な原因による事例が見られます。そうした事例の中には、幼児や高齢者など抵抗力の弱いハイリスクグループが利用する社会福祉施設においても発生しており、大きな問題になっています。これから、ノロウィルス食中毒の多発期を迎える中で、都は具体的にどのような防止対策を講じていくのかお聞かせ下さい。

3 障害者への理解促進について
最後に、障害者への理解促進について伺います。障害、障害者という言葉は、定着した言葉のようになっていますが、いわば行政用語が一般化したものです。障害という言葉の漢字は、「障」も「害」も、否定的な意味合いが強く、その言葉自体や漢字表記に差別感を持つ当事者もいます。先般、私の地元、板橋区では、地域保健福祉計画の策定にあたり、障害の「害」の字をひらがな表記に改め、「障」は漢字としました。その理由は、「障害者に対する差別や偏見をなくしていこうとする、心のバリアフリーを推進するため」です。これには、言葉だけを換えても、障害者の実態が変わらなければ意味がない。「害」をひらがなにしても、差別や偏見を持つ人の意識は変わらない。という意見も確かにあります。また、産経新聞の社説には、国語という意味から、安易な表記の変更は好ましくないとの論調で取り上げられました。言葉が差別をするのではなく、人が言葉で差別をするわけですから、「害」という漢字を用いることの是非自体が大きな問題とは言えないのかも知れません。ほとんどの人が、障害者という言葉を知識として知っています。それなのに、自分自身を表す言葉に「害」と言う漢字がもちいられる。それに対して違和感を持つと言う人の事や、日々「生きづらい」と感じながらも克服しつつ、社会の中で生活する人の気持ちなど、その多くの人達は考えた事もないのだと思います。「害」をひらがなで表記するという、小さなアクションが、一般紙の社説に取り上げられたこと自体が決して無意味なことではありません。賛否は別にしても、私は、この事を契機として、私たちの社会の何が障害のある人に、「害」という漢字を使うべきでないと感じさせるに至ったのか、この一字の背後にある事情について、考えさせられました。生きづらいと感じさせているのは、悪意ある差別や偏見だけでなく、多くの人の無理解や無関心が産んでいるバリアなのではないかと私は思います。それを取り除いていくために、今何が必要なのか、関心をもって考えなければ何ごともはじまりません。障害のある子どもとない子どもが接点をもたずに育つことによって障害者のことを解らずに大人になってしまうということがあります。この社会は様々な人がいて成り立つということを小さいときから体験して成長すれば、互いの違いを認め合いながら生きていくことが出来るのではないでしょうか。今後、学校教育の中で障害のある子どもたちへの理解を深めていくため、どのように取り組みを進めていくのか伺います。

また東京都では、障害があっても、地域でいきいきと暮らすことを支援するため、障害者地域生活支援緊急3カ年プランを実施してきました。地域でグループホームなどの整備が進みました。グループホームはニーズがまだまだあり、引き続き、積極的に整備を進めていかなければなりません。しかし未だに計画段階で反対運動が起こることもあると聞きます。なお、自立支援法が成立し、障害者の経済的自立は、益々重要になりますが、障害者雇用は進んでいないのが現実です。こうした現状を打開し、私達の社会を、障害のある人も、ない人も共に暮らせるものとしていかなければなりません。そのためには障害に対する理解を促進し、差別偏見をなくして行く取り組みを進めることにより、様々な施策の推進を図るべきと考えますが、見解を伺います。

関連して、障害者の福祉的就労について申し述べます。自立支援法においては、従来の本人所得での負担額から、世帯収入での負担額になり作業所などへ通うことも、「サービス利用」として、1割の負担が発生します。工賃を利用料負担が上回ることもあり、障害者にとっては、「働きにいって、お金を払う」という状況が生じます。「福祉的就労」とは、障害のある人が福祉的な支援のある環境で仕事を行うことによって、働くことへの意欲や自信をはぐくむとともに、一般就労に進み、さらに自立した生活ができるよう、継続的な支援を行うことです。ところが施設に行けば出費がかさむので行きたくても行けない、行きたくない、ということになり、働く意欲を育てるどころか、ひきこもりがちな生活になってしまいかねません。自立支援法の下、「福祉的就労」はこうしたことが危惧されのです。先日私ども都議会民主党の仲間が訪問した障害者施設において、作った製品の価格や売れ行きに、職員の方は頭を悩ませていました。せっかく作った製品も、販売先が限られており、あまりお金にならないというのです。賃金を得ることが第一義ではありませんが、制度の目的自体をそこなうようであれば本末転倒と言わざるを得ません。都として、福祉的就労においても、障害者の工賃を少しでも上げていくために、経営的な視点からの取り組みを重視し、支援されることを要望して質問を終わります。
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